
中学生の少女が日常に潜む小さな謎と出会い、それを解いていく短編連作。北海道を舞台にした青春ミステリで、第28回鮎川哲也賞受賞作にあたる。カバーは木製サッシの古い教室を捉えた一枚の写真を全面に用い、窓辺の机に腰かけ俯く生徒の姿を逆光のシルエットで配する。タイトルは縦組みの白い明朝体で右側に置かれ、題字の一部だけが淡い緑に染められて視線を引く。下部の帯は生成りの地に、教室を満たす光と同じ温度を残す。窓越しの冬枝、空席の机、ひとりの後ろ姿——「いない」ものの気配で誰かを語る装丁である。

装丁岡本歌織
装画原倫子
マガジンハウス / 2024年
文学・評論