
第二次大戦下のヨーロッパを舞台に、若き女性飛行士が捕虜となり強制収容所で生き延びる姿を描いた長編小説。横顔をこちらに向けて佇む短髪の女性の姿が、絵画的なタッチで大きく配される。深い緑のシャツと茶褐色の髪、そして肌色の地に近いクラフト調の背景が穏やかに溶け合い、白いタイトル文字が縦組みの日本語と縦書きの英字で並走する。荒れた筆致と静かな佇まいが、過酷な運命に置かれてなお誇りを失わない一人の若さを、静かに浮かび上がらせている。

著渡辺淳子
装丁鈴木久美
装画マメイケダ
光文社 / 2020年
文学・評論