
小説を書くことに行き詰まる高校生の青年と、彼の前に現れる才能ある少女。創作の苦しみと希望を、瑞々しい青春小説として描き出す一冊。カバーには教室で原稿に向かう二人の人物がイラストで配され、夕暮れの光が窓から差し込む。散らばる紙片と、縦組みの本文が透けるように刷り込まれた帯まわりの構成が、書き手の内側の揺らぎを画面に呼び込んでいる。題字は手書きの墨字で大きく置かれ、デジタルな彩色と古典的な書の筆致が同居する。小説に救われ、小説に苦しむ者たちの輪郭を、装丁全体が静かに包んでいる。

著伊吹亜門
装丁坂野公一
装画水沢そら
小学館 / 2024年
文学・評論