
中華歴史ファンタジーの長篇シリーズ第三巻。奔放な盤子と冷酷な刺客、対照的な二人の奇妙な旅路を描く一冊。表紙には額に印を結んだ長衣の人物が中央に立ち、香炉から立ちのぼる煙の中に楼閣や小さな人影が浮かび上がる。淡い墨の線描に黄緑や朱の差し色を重ね、背景の白を生かして仙境めいた空気を漂わせる装画。題字は太い明朝で縦に大きく配し、鮮やかな黄緑の帯がその下半分を断ち切るように走る。古典絵巻の柔らかな筆致と現代的な配色の対比が、現と幻のあわいを行き来する物語の気配をそのまま画面に立ち上げている。
著北杜夫
装丁山影麻奈
装画nakaban
中央公論新社 / 2021年
文学・評論