
一人四役の作家による幻想小説アンソロジー。奇想と異空間、限りない叙情をたたえた短篇が並ぶ一冊で、複数の人格が一つの物語空間に集う独特の構造を持つ。表紙は薄曇りの空と海を背景に、宙を泳ぐように並ぶ複数のマッコウクジラを淡い色彩で描き、左端には縦組みの英字「With love, from the sinking ship」を配する。下部の白い帯には太い和文タイトルと、小さく佇む人物・犬のシルエットが添えられ、静かな余白が物語の気配を抱える。空と海の境界を曖昧にする画面は、四つの声が溶け合うアンソロジーの姿そのものを映している。

著望月麻衣
装丁bookwall
装画いとうあつき
ポプラ社 / 2023年
文学・評論