
狼に育てられた少女たちが修道女の手で人間社会へと矯正されていく、表題作を含む短編集。表紙には、お揃いの紺のワンピースを纏った三人の少女が、花柄の壁紙と煉瓦色の床の部屋に佇み、背後の額には黒いリボンを掛けた狼の絵が掛かる。水彩の柔らかな筆致で水仙や貝殻、ガラス玉が散らされ、無垢と野性の境目が穏やかに描き出される。少女たちのぎこちない立ち姿が、物語の不穏な愛らしさをそのまま映している。

著ʻUthitHēmamūn 福冨渉
装丁川名潤
装画ウティット+ヘーマムーン
河出書房新社 / 2019年
文学・評論