
関ヶ原を舞台に、近江の村から大名へと駆け上がった田中吉政を描く長編歴史小説。表紙では、槍を構えた甲冑姿の武者と、家紋を染め抜いた旗指物が、夕焼けと夜闇が混ざるような群青の空に立ち上がる。手描き感のあるイラストレーションは橙・黄・赤の炎を思わせる色を散らし、合戦の高揚と土埃を画面いっぱいに残す。下部には砂色の帯と黒地の角に縦組みで赤い書名と「出陣!!」の文字が据えられ、絵の躍動を活字の重さで受け止める構図になっている。戦場の熱気を、装丁の静かな骨格が支える一冊。

著市川哲也
装丁西村弘美
装画まいまい堂
東京創元社 / 2023年
文学・評論