
探偵エラリイ・クイーンが、ある町の十日間に起きた連続する怪事件と向き合う長編ミステリ。後期クイーン的問題と呼ばれる難題が立ち上がる、本格推理の極北を新訳で読み直す一冊。表紙は十字を戴く墓石らしき構造物を黄土色の太い線で描き起こし、傍らにエメラルドを思わせる緑の宝石ふたつと、それを吊るす細い鎖を配する。手描き感のあるラインと余白の白さが、装飾を削いだ静けさを生んでいる。神の不在と謎の輪郭だけを残したような図像が、十日のあいだに現れる不可解な符牒を、読み解かれるべき記号として差し出している。

著Bardugo、Leigh、田辺、千幸
装丁早川書房デザイン室
装画吉田ヨシツギ
早川書房 / 2015年
文学・評論