
冷戦下、インドネシアで起きた共産主義者大量虐殺を起点に、米国の反共作戦が第三世界へと波及していった過程を辿るノンフィクション。表紙は群衆を写した報道写真に蛍光オレンジを刷り重ね、白地のうえに縦組みの邦題と、左へ九十度倒した英題タイポグラフィを交差させる構成。鮮烈な単色と銀残しのような写真処理が、史実の生々しさと、それを覆い隠してきた時代の熱を同時に立ち上げる。歴史の暴力を直視するための、装丁の温度設計。

著井上ひさし
装丁山田和寛+佐々木英子
装画やべみつのり
作品社 / 2023年
文学・評論