
世界の終わりや喪失の予感を背景に、若者たちの夏を描く長編小説。淡い水色のグラデーションを基調に、ふたりの人物が透けるような線で描かれ、頭上から水が降り注ぎ、足元には水面が広がる。彼らの周囲には小さな黄色い果実と緑の葉が点在し、清涼感とどこか終末めいた静けさが同居する。タイトルは縦書きの明朝で大きく置かれ、画面下にローマ字表記が添えられて、画と書体の余白が水位のように呼応する。透明な夏の儚さを、装画と組版の余白がそのまま一冊の温度に変えている。

著浅原ナオト
装丁青柳奈美
装画新井陽次郎
KADOKAWA / 2021年
文学・評論