
触れた者は皆、無残な死体となる」——美少年クルミをめぐる淫美な長編ミステリー。欲望と暴力の境界をなぞる謎が、静かに張りつめていく一冊だ。ベージュの地に、半ば伏せた目とほくろをたたえた中性的な顔が大きく描かれ、その周囲から青白い手が幾本も伸びて掴みかかろうとする。マンガ的な筆致の人物と、生気を欠いた手の対比が、触れることへの欲望と恐怖を同時にすくい上げる。鮮やかなピンクの帯に置かれた太い明朝の「さわると、死ぬ。」が、その緊張を一行で言い切っている。

著伊吹亜門
装丁坂野公一
装画水沢そら
小学館 / 2024年
文学・評論