
洞窟、地下河川、氷河の深部、核廃棄物処分場——人類が地下に託してきた記憶と禁忌を、ネイチャーライティングの旗手が辿る紀行文学。地表の下に広がる「ディープ・タイム」の感覚を、神話・地質学・現代の環境危機と編み合わせていく一冊。表紙は、絡み合う枝々を見上げたような構図の中心に、燃えるオレンジの円が地下からの光のように沈んでいる。青と黒の樹影、橙から赤褐色へ流れる絵具の筆致が、地表と地下、生と忘却の境界を一枚の渦として立ち上げ、深層へ降りていく旅の予感をそのまま視覚化している。

著Grey、S.L、奥村、章子
装丁仁木順平
早川書房 / 2018年
文学・評論