
ケリー・リンクによる短篇集の翻訳。少女や幽霊、奇妙な生き物たちが現実とファンタジーの境目を漂う物語が並ぶ。表紙は淡い水色の地に、青を主調とした波しぶきや渦のような流動的なイラストレーション。白い飛沫、ピンクや黄の差し色、肌色の柔らかな曲線が混ざり合い、人物とも自然物ともつかない輪郭が画面いっぱいに広がる。タイトルは細身の明朝で上部に控えめに置かれ、絵の混沌に静かな余白を与えている。怪物的なものの愛らしさと不穏さが同居する物語の質感を、装画がそのまま手渡してくる一冊。

著宮田愛萌、渡辺祐真(スケザネ)
装丁大久保明子
装画北澤平祐
文藝春秋 / 2025年
文学・評論