
江戸の長屋を舞台に、人と人ならぬものが同じ屋根の下で日々を重ねる怪談時代小説。床も柱も赤く染まる薄暗い屋内で、何かに驚いたように身構える三人の住人と、床に横たわる一枚の板が描かれる。奥には道具のかかった土間が長く伸び、ついさっき何かが起きた気配が画面を満たす。題字は赤縁の短冊型に縦書きで据えられ、白地に墨字の落ち着きが、画面の熱をひとまず受け止める。日常の畳一枚向こう側で、ふと開く異界の扉を思わせる一冊。
著ワクサカソウヘイ
装丁川名潤
装画竹田嘉文
イースト・プレス / 2014年
文学・評論