
団地で暮らす五十代の幼なじみふたりの、淡々として地続きの日常を描く小説。生成りの地に手描き線のイラストレーションを置き、丸テーブルを囲んで茶を飲み菓子をつまむふたりの女性、背後にはオレンジのソファや食器棚、観葉植物までが細やかに書き込まれる。タイトルは右に明朝で縦組み、著者名は左にゆったり間隔をあけて添えられ、下部の茶色の腰巻が画面を引き締める。線の柔らかさと色面の素朴さが、登場人物たちの飾らない時間そのものを差し出している。

著渡辺淳子
装丁鈴木久美
装画マメイケダ
光文社 / 2020年
文学・評論