
地球を離れた人類の末裔が、失われた物語を語り継ごうとする少女の旅を描くSF。スペイン語で「語り部」を意味する原題が示すとおり、記憶と口承の力をめぐる物語が静かに立ち上がる。深い藍を基調とした表紙には、本を抱く少女の肖像が額装画のように中央に据えられ、周囲を蝶・蛇・兎・葉・花といった動植物のフォークアートが点描の枠で囲む。朱と白の二色で抜かれた図像は民話の挿絵を思わせ、宇宙の暗さと土地の記憶を一枚に重ねている。物語が運ぶものの重さを、静かな額縁の構図が引き受けている。
著ChristieAgatha、深町真理子
装丁柳川貴代
装画吉實恵
東京創元社 / 2019年
文学・評論