
怪奇小説の名手アルジャナン・ブラックウッドを中心に、名訳者・平井呈一が遺した怪談翻訳の集成。英国怪奇文学の闇と幻想が、日本語の独特な手触りに移しかえられた一冊である。表紙は鮮烈な藤色を地に、黒インクの版画調で描かれた人形めいた異形の姿を据える。蜘蛛、十字架、ナイフ、炎、燭台といった意匠が枠内に散らされ、手刻みの文字で「THE LOST VALLEY」と刻まれる。毒のある色面と荒い線が、谷の奥へ迷い込む不穏さをそのまま視覚化している。

著Jo Walton
装丁波戸恵
装画丹地陽子
東京創元社 / 2017年
文学・評論