
効率を求める者と、そうではない者。価値観の異なる二人の関係を通して、人と人の間にある「ままならなさ」を見つめる中編二作を収めた一冊。表紙には、セーラー服姿の少女たちが横断歩道を渡る瞬間が逆光で切り取られている。にじむ光と長く伸びる影、アスファルトに散る粒子のきらめきが、誰の顔も映さないまま彼女たちの輪郭だけを浮かび上がらせる。中央に置かれた白い短冊にタイトルだけを静かに収める構成が、群れの中の個と、すれ違いゆく時間の手触りを際立たせている。
著恩田陸
装丁大久保明子
カバー写真Paul Juiliani+近藤篤+EyeEm
文藝春秋 / 2017年
文学・評論