
大学を卒業し、真面目に働いていたはずの女性が、ある日ホームレスとなる——その転落と再生をリアリティをもって描いた長編小説。表紙には横顔の女性が大きく配され、頬には窓越しの陽だまりのような光が落ちている。タイトルは白い細身の明朝で写真の上部に静かに置かれ、下半分の余白には「お金がない。」という言葉が淡い水色で添えられる。眼差しの奥にある不安と、それでも差し込む光の温度。装丁全体が、彼女がまだ何かを待つ時間のなかにいることを伝えている。
著角田光代
装丁池田進吾
文藝春秋 / 2016年
文学・評論