
人と動物のあいだに通う声なき情を描いた連作短編集。捨てられた猫、恋人の犬、カエルのぬいぐるみ——言葉の届かない相手へと差し出される愛のかたちを、静かに掬い上げていく。生成りの地に淡墨で描かれた、横たわる人物と覆いかぶさるように頭を寄せる獣の小さな図像。窓の格子を背に、輪郭はにじみ、互いの体は溶け合うように曖昧で、抱擁とも哀悼ともつかない。タイトルの繊細な明朝体と余白の取り方も含め、語りえぬものへの距離をそのまま装幀に置き換えたような一冊。

著KingStephen、白石朗
装丁石崎健太郎
装画藤田新策
文藝春秋 / 2015年
文学・評論