
優生思想の果てを描く、芥川賞作家による初の長篇小説。「あなたも〈命〉を捜しているんですか」という静かな問いかけが、すでに始まっているのかもしれないディストピアを照らす。カバーは白いワンピースの少女を中央に据え、鳥や果実、葉、地球儀めいた球体や遠景の街並みが緻密な線描で背景を埋める。ピンクや黄、青緑の鮮やかな色面のなか、人物だけが余白のように白く抜かれる。祝祭めいた色彩と中心に立ち尽くす細い身体の対比が、贈与される生という主題を静かに引き受けている。
著島田荘司
装丁鈴木久美
装画toi8
新潮社 / 2015年
文学・評論