文学・評論
幻影の手術室:天久鷹央の事件カルテ
知念実希人
天才的な頭脳を持つ女医・天久鷹央が、医療現場で起こる不可解な事件の謎に挑むミステリ連作集。本作はシリーズの一篇で、手術室という密室で起きた「見えない殺人」を軸に、医学知識を駆使した推理が展開される。表紙は白を基調に、中央の少女を青・黄・緑・桃の淡いシルエットが囲い込む構図。背後の人影は半透明にぼかされ、誰のものとも判別がつかない。題字は墨色の明朝で大きく縦に置かれ、英題と文庫レーベルのロゴが小さく添えられる。色の輪郭だけで残された他者の影が、密室に潜む犯人の「幻影」を静かに示している。