
私立探偵明智小五郎が"魔法博士"なる怪人と対峙する、江戸川乱歩の探偵小説。少年時代に夢中になった読者も多い、怪人二十面相をめぐる物語の一篇である。カバーには、夕焼けに染まる森の中の西洋館と、その傍らに浮かぶ怪しげな人影が緻密な筆致で描かれ、燃え立つようなオレンジと深い闇のコントラストが幻想性を際立たせる。和文タイトルは白の明朝で大きく中央に据え、下部には台詞を引いた赤の帯。古典の活劇感を、絵画的な装画と端正な書体配置で現代の文庫に落とし込んだ一冊。

著渡辺淳子
装丁鈴木久美
装画マメイケダ
光文社 / 2020年
文学・評論