
18世紀フランスを舞台に、一通のパンフレットが社交界に波紋を広げていく顛末を描いた長編。タイトルが示すとおり、噂と醜聞をめぐる人々の身の処し方に光を当てる。漆黒の地に金色で刷られた仏題「La Cause Célèbre」が額装画のように静かに浮かび、青いドレスを纏った貴婦人が散らばる書簡を抱え込む構図の絵画が中央に据えられる。明朝体の白い邦題が画面を横切り、絵の下端には事件の経緯を綴ったフランス語の文が小さく置かれる。古典絵画と現代の活字組版が同じ闇の中で釣り合い、優雅さと不穏さの境目を提示している。
著清野栄一
装丁水戸部功
双葉社 / 2013年
文学・評論