
千葉の自室からほぼ出ない著者が、海外渡航経験のないままルーマニア語で小説を書く作家になるまでを綴ったノンフィクション。深いオリーブグリーンを地色に、白いフードを目深にかぶった人物のモノクロイラストが中央に据えられ、その背後には黒い三角形の山影と細い対角線がいくつも引かれている。日本語タイトルが力強い明朝で大きく、その隙間を縫うようにルーマニア語訳が小さく寄り添う構成だ。閉じた部屋から遠い言語へと細い線で結ばれていく、その距離そのものを一枚に閉じ込めた装丁である。

著ディーン・ジョーブ
装丁木庭貴信+青木春香
亜紀書房 / 2022年
社会・政治