
19世紀末のロンドンで連続毒殺を重ねた医師トマス・ニール・クリームと、彼を追ったスコットランドヤードの攻防を描くノンフィクション。蛍光イエローの地に、シルクハットと口髭の紳士のモノクロ肖像写真を据え、ヴィクトリア朝の装飾的書体で〈THE CASE OF THE MURDEROUS DR. CREAM〉と金箔押し風に重ねている。明朝の和文タイトルが端正に立ち上がり、毒々しい黄が紳士の仮面の裏に潜む狂気を匂わせる。古文書めいた書体と現代的な蛍光色の衝突が、装われた紳士性と凶行のコントラストをそのまま体現する一冊。

著済東鉄腸
装丁木庭貴信+青木春香
装画横山裕一
左右社 / 2023年
ノンフィクション