
日々の暮らしのなかで密かに敬遠してしまうもの——食べ物や生き物、人や場面——を、独特の視点で書き留めたエッセイ集。白地のカバーいっぱいに、ピンクの猫、黒い犬、串団子、瓶詰め、タクシー、ビールを傾ける人物、鳥や貝、花や下着まで、雑多な「苦手」がガッシュ調の筆致で並ぶ。手描きの輪郭と滲んだ色面、不揃いな配置が図鑑というよりスクラップ帳の体裁を生み、タイトル文字は中央にひっそりと収まる。羅列の楽しさと、どこか可笑しい不格好さが、表題の感触をそのまま伝える一冊。

著重松清
KADOKAWA / 2019年
文学・評論