
小学六年生の教室で交差するいくつもの視点を束ね、彼らにとっての「今」がそのまま世界の全体であることを描いた長編。白地の上には、鳥の顔をした子ども、苺柄のスカート、宙に浮かぶ楽器や音符、小さな王冠といった断片が、線描と淡い水彩でコラージュのように散らされる。タイトルは手書き風の黒文字で素朴に置かれ、英文の副え書きが筆記体で添えられた構成。輪郭の定まらないモチーフの集積が、まだ自分が何者か決まらない年齢のまなざしを掬い取っている。

著宮田愛萌、渡辺祐真(スケザネ)
装丁大久保明子
装画北澤平祐
文藝春秋 / 2025年
文学・評論