
雪に覆われた札幌の街を舞台に、人と人とのあわいに流れる小さな歌を掬いとろうとする物語。表紙には、白いコートに水色のマフラーを巻き、黄色いヘアバンドをのぞかせた少女が、レンガ敷きの路上で雪を踏みしめながら振り返る姿が描かれる。背景は窓枠を思わせる縦横の青い線で区切られ、舞い落ちる雪と冬枝が透明感のある水彩調のタッチで重ねられている。タイトルは右上に縦組みで大きく置かれ、人物の柔らかな陰影と街の冷たい白を、淡い色面のリズムが静かに繋いでいる。

著西條奈加
装丁アルビレオ
装画伊野孝行
KADOKAWA / 2022年
文学・評論