
四十歳を境に変わっていく女性の美しさや自意識を、私小説的な筆致でつづったエッセイ集。年齢を重ねることで見えてくる視線や手応えを、率直な言葉で書き留める一冊である。鮮烈なピンクを背景に、黒髪と陰影を強調した墨絵調の女性像が大きく配される。横顔気味に伏せた視線、頬と唇に差された淡い赤、和紙のような質感のタッチが、肖像をどこか古典的な余韻のあるものへと変えている。タイトルは縦組みで右側に整然と置かれ、絵の艶やかさと書体の静けさが拮抗する。色の強さと佇まいの落ち着きが同居する装丁である。

著喜多喜久
装丁西村弘美
装画ミキワカコ
中央公論新社 / 2016年
文学・評論