
ゴダール映画の原作としても知られる、ライオネル・ホワイトによる犯罪小説の新訳。男が幼なじみの女と逃避行を続けるうち、平穏な日常から狂気と破滅へと滑り落ちていく顛末を、乾いた筆致で描き出す。淡い水色の背景に、金髪のウィッグ、鋏、ミニカー、白い犬、林檎やぶどうを盛った皿が一枚の静物として並べられた写真。題字は黄色、横切るタイポグラフィも黄色で傾けて配される。生活の小物が並ぶようでいて、刃物が画面の中心を貫く構図に、物語が孕む不穏さがそのまま立ち上がる。

著小林快次
装丁新潮社装幀室
装画北澤平祐
新潮社 / 2022年
文学・評論