
タイトルに「(仮)」を残したまま世に出された長編小説。括弧付きの仮題そのものが、定まりきらない希望のかたちを示しているかのようでもある。カバーは、青空と海、点在する家並みのある町を真っ白な道が大きく蛇行して横切る平面的なイラストレーション。色面は青・白・黄・緑・朱に絞られ、版画を思わせる輪郭の太さと余白の取り方が、どこか懐かしい旅情を立ち上げる。題字は明朝の墨黒で大胆に配され、明るい風景の上に静かな重みを落としている。
著桂望実
装丁高柳雅人
装画Jiwoon Pak
光文社 / 2022年
文学・評論