
モンゴル帝国を築いたテムジンの若き日を描く長編歴史小説の第五巻。戦場で対峙する最強の男との対話を軸に、英雄たちの恐怖と戦慄、そして新たな勇者へと託される一振りの剣をめぐる物語が綴られる。深い臙脂を地に、たてがみを乱した馬を細密な線描で大きく刷り、その上に「絶影」の二文字を金で大書する構図。著者名は端正な明朝で縦に配し、白い帯のコピーが朱の世界を引き締める。沈鬱な色と疾走する獣の影が、剣の重さという主題を静かに支えている。

著渡辺淳子
装丁鈴木久美
装画マメイケダ
光文社 / 2020年
文学・評論