
韓国の作家による短篇集。日常の輪郭がふいに揺らぎ、自分が何者であるかを問い直す瞬間を、淡々とした筆致で掬い取る。カバーは黒と灰、わずかな黄土を散らした抽象的なコラージュで、地図のような細線と滲み、剥がれかけた紙片が重なり、上半分の混沌が下半分の余白へと溶け落ちていく。中央には「おい。一体お前は、何者なんだ」という台詞が大きく置かれ、その背後で「幽霊」の文字が薄く崩れる。手触りある画面と問いかけの声が、存在の不確かさをそのまま装丁に映している。
著カレン・エリザベス・ゴードン
装丁坂川朱音
彩流社 / 2018年
人文・思想