
騎士団長アルスルを主人公とする異界ファンタジー《アンサンガとふしぎな魔法》シリーズの一冊。獣の姿をまとう者たちと人とが交錯する世界で、王と呼ばれる存在をめぐる物語が綴られる。表紙は深紅のカーテンを背に、巨大な擬人化された猫と少女、足元に集まる仔猫たちを古典絵画めいた構図で配置する。フリルの襟、白磁の壺、緑のソファといった調度が落ち着いた色調で精緻に描き込まれ、左右の余白には金で縁取られた英題が縦に走る。寓話性と緊張感が同居する装画と、文庫サイズに詰め込まれた静かな格式が、物語の異形と気品をそのまま一冊の佇まいに変えている。

装丁岡本歌織
装画原倫子
マガジンハウス / 2024年
文学・評論