
放課後の教室で、白い布をかぶった人物と制服姿の少女が窓辺に佇む。タイトルは「≠」で〈ゴースト〉と〈ノイズ〉を切り離し、括弧に〈リダクション〉と添えた、音響工学めいた一文だ。装画は柔らかな水彩の筆致で、左の窓から差し込む西日が机に紫の影と金色の光を交互に落とし、整然と並ぶ無人の椅子が奥行きを生む。タイトルは白く抜かれて空の階調へ溶け、小さな英字ロゴが重ねられる。日常の教室に滲む不在の気配を、光と影の温度差で静かに掬い上げた一冊。

著喜友名トト
装丁川谷康久
装画げみ
新潮社 / 2023年
文学・評論