
三毛猫ホームズが事件に巻き込まれる人気シリーズの一作。茶話会という穏やかな場に潜む人間模様を、軽妙な筆致で描く赤川次郎の連作短編集である。カバーは淡いピンクの壁を背景に、こちらに背を向けて座る三毛猫の後ろ姿を中心に据えた水彩タッチのイラスト。卓を囲む五人の婦人たちは表情を抑えたまま視線を交わし、観葉植物やスタンドライトが室内の静けさを演出する。タイトル文字は黄緑で軽やかに置かれ、淡い色面のなかで猫の三毛模様だけが密度を持って立つ。観察者としての猫の佇まいが、画面全体に漂う穏やかな緊張感とよく響き合っている。

著渡辺淳子
装丁鈴木久美
装画マメイケダ
光文社 / 2020年
文学・評論