
自分」であり続けることの、ひそかな疲労に目を向ける一冊。ココロとカラダはひとつのようで噛み合わず、その隙間に立ち止まって考えるためのシリーズの中に置かれている。表紙では、星空と砂地を背景に、点描のような細かい粒で描かれた異形の生きものたちが寄り集まる。鮮やかなピンク、深い藍、苔のような緑が同居し、愛らしさとどこかぎこちない不穏さが入り混じる。タイトルの「疲」だけが明るいピンクに染まり、心と体の境がにじんでいく感覚を、絵のなかから静かに差し出してくる。
著吉岡乾
装丁鈴木千佳子
装画朝野ペコ
創元社 / 2021年
人文・思想