
数学者・岡潔の随筆や講演を、若き独立研究者が編んだ一冊。情緒と数学を地続きに語った先人の言葉を、現代の読み手に手渡す試みでもある。カバーは灰色の地に、白いインクで走り書きされた数式や図がうっすらと浮かび、思索の痕跡そのものを敷き詰めたような佇まい。中央に置かれた老数学者のモノクロ肖像と、その左右に走る蛍光イエローの帯状タイトルが、静かな紙面に確かなリズムを生む。手書きの数式と人物写真、そして強い黄。三つの異なる温度が、数えることと生きることを同じ平面に並べてみせる。

著寺地はるな
装丁新潮社装幀室
装画嶽まいこ
新潮社 / 2024年
文学・評論