
古代神殿を舞台に、聖女ヴィクトリアをめぐる思索と物語が綴られるファンタジー。神殿の祭祀と人々の営みを、考察という静かな視点から照らし出していく。表紙には朱い布が翻る列柱の神殿と、像の傍らに佇む人物が描かれ、夕景のような金色と青緑の空気が混じり合う。前景には紫の花々と石壁が配され、奥行きのある幻想的な遠景へと視線を導く。タイトルは菱形の枠に収められ、絵画的な情景に古典の佇まいを添えている。物語の荘厳さと考察の静けさを、一枚の風景画として束ねた装いとなっている。

著河野裕
装丁草苅睦子
装画たえ
KADOKAWA / 2017年
文学・評論