
婚約破棄を契機に監獄へと身を寄せた悪役令嬢が、囚われの境遇のなかで思いがけない穏やかな日々を見いだしていく物語の下巻。カバーは、薄暗い独房の格子越しに椅子へ腰かける少女を捉えた一枚画で、ランタンの暖色がドレスの白とカーテンの深紅を浮かび上がらせ、画面手前に走る黒い鉄柵が閉ざされた世界の輪郭を強く刻む。タイトルは縦組みの太い明朝で大胆に重ねられ、「監獄」の二文字を朱の枠で囲うことで、幽閉という設定と少女の静かな表情の対比を一冊の佇まいとして提示している。

著路生よる
装丁西村弘美
装画アオジマイコ
KADOKAWA / 2020年
文学・評論