
准教授・村主が語る「奇妙な遺産」をめぐる連作講座。古今の蒐集品や来歴の謎を、講義仕立てで解きほぐしていく文芸ミステリである。深い黒を地に、赤と生成りで描かれた線画調のイラストが画面を占める。シルクハットに赤いマントを纏った人物、白い小動物、十字架を載せた書物や数珠、市松の床と帳のカーテン――骨董趣味の小道具が緻密に積み上げられ、タイトルは白抜きで端然と配される。装飾と陰影に満ちた絵柄が、講義のかたちで明かされていく遺産の奇妙さを、そのまま視覚へ翻訳している。

著渡辺淳子
装丁鈴木久美
装画マメイケダ
光文社 / 2020年
文学・評論