
1968年12月、現金輸送車から三億円が奪われた日本犯罪史に残る未解決事件。半世紀を経て「実行したのは私です」と語り出す独白形式で、その「真相」を描き直す劇画の第1巻。背景は当時の新聞紙面を思わせる淡いグレーに「銀行輸送車」「1968.12」の活字をかすませ、上から白いヘルメットを被った人物のモノクロ描線を重ねる。タイトルはくすんだ青のゴシック、下部の黒帯には「完全犯罪事件の真相!?」と太く置く。資料の手触りと劇画の眼差しが、遠い事件を今へと引き寄せている。

著江戸川乱歩
装丁高橋健二
装画水沢そら
集英社 / 2022年
文学・評論