
そろそろ大阪の話をしよう——そんな構えで、著者が故郷の街と人について綴った一冊。土地の記憶や食、ことばの肌理を、研究者の眼と地元の感覚を行き来しながら拾い上げていく。表紙は白地に黒と茶のヒョウ柄を全面に敷き詰め、その上からマスタードイエローの大ぶりな書体でタイトルと著者名を散らし置く。文字は整った行を組まず、柄の間を縫うように据えられ、規格外の存在感を放つ。派手で雑多、けれど人懐こい——大阪という街の手触りそのものを、装丁が先回りして伝えている。
著尾崎世界観
装丁古屋郁美
文藝春秋 / 2019年
文学・評論