
江戸を舞台に、わけありの女三人が始めた茶屋を巡る時代小説。客の逢瀬を取り持つ商いと、料理や"秘策"を頼りに人生を切り拓いていく女たちの姿を描く。表紙は淡い藤色の地に着物姿の二人の女性を細密な筆致で配し、足元にはピンクの蓮の花がほころぶ。縦組みの白い題字が画面右から左へ大きく抜け、淡紅色の帯と相まって、柔らかな色面のなかに芯のある人物像を立ち上がらせている。江戸の市井に息づく女たちの体温を、優しい色彩としなやかな描線で包み込む装いだ。

著渡辺淳子
装丁鈴木久美
装画マメイケダ
光文社 / 2020年
文学・評論