
青に沈む室内でクリスマスツリーを見上げる小さな子と、その傍らに立つ大人の男性。誘拐犯と少女、そして「本当のお父さんだったらいいのに」という願いをめぐる書き下ろしミステリ。表紙は油彩のような筆致で描かれた一場面で、青と灰青を基調に、ツリー先端の星と装飾の淡い金がわずかな光源として置かれる。人物の表情は描き込まれず、後ろ姿と俯きがちな佇まいだけで関係の距離をにじませる構図。縦組みの明朝でタイトルを大きく抜き、帯の薄青が画面の青へ溶け込むことで、家庭の風景と犯罪譚が地続きであることを静かに示している。

著EverettPercival、木原善彦
装丁鈴木成一デザイン室
装画吉田雨水
河出書房新社 / 2025年
文学・評論