
家族とのつまずきや向き合いがたさを、足元に咲く小さな草花の名に託して描く長篇。新聞連載で反響を呼び、2023年を代表する一作と評された。鮮やかな空色を背景に、白いシャツをまとった人物像が逆さまに配された大胆な構図。手描きの筆致が残る装画と、毛筆書体の白い題字とが呼応し、画面の隅に置かれた瓦屋根のような褐色の塊が静かな重みを添える。視点の反転そのものが、揺らぐ日常を見直す物語の入口となっている。

著EverettPercival、木原善彦
装丁鈴木成一デザイン室
装画吉田雨水
河出書房新社 / 2025年
文学・評論