
認知症を患う八十六歳の老女が辿る、最後の旅と「秘密の絆」を巡るミステリ。失われゆく記憶の奥に沈んだ真実が、静かに浮かび上がってくる。カバーは、青空に切り立つ岩盤の島を浮かべた油彩風のイラストレーション。緑の草原の頂に小さな赤い屋根の聖堂が建ち、断崖の下には雲が漂う。和文タイトルは細身の白抜き明朝で縦に置かれ、島の側面には欧文タイトルと著者名のローマ字が手書き調で淡く添えられる。地に足のつかない記憶の島と、それでも灯り続ける小さな信仰の像が、物語の余韻と静かに重なる。
著増田忠則
装丁國枝達也
装画小山義人
双葉社 / 2023年
文学・評論