
逆光に沈む浜辺で、空の鳥籠の傍らにうずくまる少女の写真がカバー一面を覆う。失踪や見えない存在を巡る人間の不在を、視線の届かない場所から問い直すミステリ長編である。モノクロームに近い青灰の海と砂、白く飛んだ太陽の光が彼女の輪郭を溶かし、その上に流れる筆記体のローマ字ロゴと、画面を縦に貫くゴシックのタイトルが交差する。手書き風の帯文と空の鳥籠が呼応し、囚われと解放のあわいに読み手を静かに置き去りにする一冊。

著MacLeodAlison、高山祥子
装丁アルビレオ
装画久野志乃
東京創元社 / 2019年
文学・評論