文学・評論
鉢町あかねは壁がある カメラ小僧と暗室探偵
高木敦史
カメラを手にした少年と、向こう側に立つ少女——舞い散る白い印画紙とフィルムの断片が、写真をめぐる青春ミステリの気配を静かに伝える。表紙は書架の並ぶ室内と群青の夜空を重ねた合成的な構図で、青いトーンに沈む画面のなか、揃いの赤いネクタイだけが鮮やかに浮かぶ。タイトルは細身の明朝で右に縦組みされ、サブタイトルはフィルムのコマを模した白枠に小さく収められている。「壁」と「暗室」というふたつの隔たりが、画面の青と紙片の白に静かに翻訳されている一冊。